2013/06/26(888) 『一昨日はスーパームーン、満月。美しいけど・・・ 』

一昨日はスーパームーン、満月。美しいけど悲しい日になった。

鶴田流琵琶の奏者・榎本百香さん、ももちゃんが、「biwa tabi」というテーマで薩摩琵琶を奏ででくれた。

琵琶が伝わってきた時代がそうだったように、雨夜の明かりをろうそくの灯りで照らしながら、幽玄世界にまるで、雨の水の一滴にうずくまっていくようなそんな雰囲気につつまれた。

「水の旅」の演奏が終わったところで、かみさんが厨房に入ってきて、「休符(半のら猫)が車にはねられた」と耳打ちしてくれた。

十間橋をはさんだ前の道路に、休符がうずくまっている。

演奏中なので、雰囲気をこわさぬように、静かに黙祷。

エンディングの「東風」。悠久の河の流れのように、昔から人が旅をし、めぐる土地土地で、恋をしたり、酒を飲んだり、帰し方を思い出したり、夢を抱いたりしながら、いろんな居場所や死に場所を
選んできた。そこには音楽があり、楽器もあり、ギターや太鼓などとおなじように琵琶も二本に伝えられた。

そんな清風のような静かで涼やかな曲だ。内心は穏やではないところもあるが、琵琶の悲しい調べが「鎮魂」させてくれているようにも思えた。

静かに演奏が終わり、満席のお客さんたちが、帰路につかれ、ももちゃんが二階に帰り仕度にあがった時に、おそるおそる白黒の猫の屍のところへ渡る。

しっぽの形も白黒の模様も休符だ。1月の雪の日に旅立った「チビ」といっしょに寝ていた毛布をとりにかえり、抱きかかえて、お店の前の「休符椅子」(道ゆく人が休憩できるようにプランターのところにつくった椅子」の下に置き、焼き締めのたぬきに花を手向け、珈琲豆のカスをいれた灰皿に線香を焚き、久保さんの黄瀬戸の「つぼつぼ」という器に酒を注ぎ、ぼくらと同じように、親のようにかわいがってくれた大家さんにきてもらい、弔いをした。

ウォンさんの「ムーントーク」を聴きながら涙雨の満月に旅立った家族を偲ぶ。

生きとし生けるものは、この星にきたつかの間の旅人。みんな仲間。

猫も人間も生きていくというのは大変な時代だ。がんばろう。鎮魂。

    感謝・野村拝