先月のNHKのプロフェッショナルという番組に蕎麦の神様で、ぼくの蕎麦の師匠の高橋さんが紹介された。
人気の番組なのでかなり反響があり、いろいろなとこで感激した声を聞いた。
来年に大分の杵築市に移住するという話も業界の話題になっている。
彼が広島の山奥に「達磨」をつくったおかげでうどん文化の西日本に蕎麦の花があっというまに広がったような気がする。
達磨の建物を「雪花山房」、という。
ぼくがそこにいったのは10年前の2月。広島駅からバスにのって2時間半。
「どんぐり村」という小さな民宿が一軒あるだけの寒村だ。
今はそこが「道の駅」になり、高橋さんの「蕎麦の村おこし」が効を制して、立派な「そば道場」になっている。
修業の初日、その小さな民宿に軽トラが迎えにきてくれた。
「迎えをよこす」と電話で聞いてはいたが、「蕎麦の神さま」自身が運転してこられたのにはびっくり仰天!空を見上げると雪が舞っていた。
友人で世界的な建築家・白井昱磨がたてた「雪花山房」についたら雪景色で、「まさに雪花山房」!だと思わず叫んだら、師匠が、「白井さんは、中国の詩から命名したらしいですよ」と教えてくれた。
後にそれが白楽天の「村夜」の中の「月明らかにして蕎麦花雪の如し」から命名されたことを知る。
4日間早朝からマンツーマンで高橋さんに蕎麦打ちを徹底的に指導していただき、最後の日も、軽トラでバス停におくってもらった。
バスがくるまで10分くらいあった。
車からおりて「ありがとうございました。
どうぞお忙しいでしょうから、ここで失礼します。」とお礼をいったら、「まだ10分もあるので、どうぞ車の中で待ちましょう」といってくれ、その10分の間に、彼の蕎麦の哲学の真髄みたいな値千金の話が聞けた。
言葉にすると虚しいけど、高橋さんの座右の銘で禅語の「上求菩提 下化衆生」みたいなことだ。
バスがきて、後ろの席に座って振り返ると、達磨さんが雪の中で見送っておられた。
「おもてなし」というより、「生き方」を教えていただいた瞬間。たぶん一生忘れがたき卒啄の機だ。
天真庵を池袋に結んだ平成8年のある日。午前中に友人の紹介で白井さんの自宅に初めてうかがった。
まだ煎茶をやってなかったけど、お父様白井晟一さんの愛用の京焼の井上春峰さんの煎茶椀をいただき、午後に銀座で個展をやっていた久保さんに出会い、その後焼締めの急須をいただいた。
「卒啄同時」ともいうけど、実に不思議な日だった。ぼくはその後「織田流煎茶道」を学び、知らない間に正教授になって後輩の指導をすることになった。
これから「卒啄珈琲塾」の時間。いかなくては。
午後は「無茶しぃの会」
白井晟一さんの「生」という書を飾った場所で珈琲の勉強をし、久保さんのつくってくれた茶器でお茶を楽しむ。
ちょっとだけ、「文人」に近づいてきたかなあ?という気がしてきた。まだまた旅の途中ではありますが・・・・・・・・・・・・・
感謝・野村拝
記
突然ではあるけど、京都・好日居の横山さんが上京して、茶会を催すことにあいなった。
風雅な今日の茶心を縁ある人たちと味わってみたいと思う。日々是好日。居。
茶会/臘月ノ茶時 @天真庵 by 好日居
「臘」つなぎあわせるの意。
2013年と2014年をつなぐ臘月に、
時の臘と縁の臘、ひととき 臘ノ茶時を
ご用意してお待ちして居ります。
茶房 好日居/横山晴美
http://kojitsu-kyo.cocolog-nifty.com
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【ご案内】 臘月ノ茶時 @天真庵 by 好日居