順受の会が20周年を迎え、今月29日に記念パーティーをすることになった。
「論語読みの論語知らず」と言われても、どこふく風よろしく、継続は力なりで20周年を祝う。どの道も最低10年間は、毎日あくことなく努力し続けないと「もの」にはならない。
同じくらいの歴史を持つ「英語で蕎麦会」が昨日雨の中、新しい歴の引き出しができるような記念すべき日になった。
なんと、「先生と生徒がスカイツリーで待ち合わせをして、外国人観光客に声をかけ、天真庵にお連れし、英語で蕎麦会に参加させよう」という大胆な企画。
先生からこの企画の趣旨をメールでおくられてきた生徒さんたちの気持ちはいかに、を心配した。
いつもは7時に始まる勉強会。蕎麦や食事の準備をしながら、待つこと一時間。そぼふる雨の中、傘をさした団体さんが、うらぶれた十間橋通りを歩いてきた。中に青い目をした若い外人さん2人がいた。
不思議な「英語で蕎麦会」が、始まった。お二人は、フランスのブルターニューから日本に観光にきたらしい。
フランス北西部に位置するブルターニュ地方では、ケルト系の人々が多く住み、そばを栽培し、「そば粉のガレット」というのを伝統的に食してきた。
「ギャレット」と発音するらしい。ガレットには、りんご酒のシードルがよく似合う。
ブルターニュー地方の人々の生活とりんごは深く共存しワインの地方とは異なる独自のりんご文化を築いてきた。りんご作りに最適な気候、土壌を持つフランス・ブルターニュ地方が育んだ産物、それがシードルです。海風の気候にぴったりのバターもうまく、ここで「がれっと文化」が花開いたわけだ。
先生が声をかけた時、「何か買い物をされるのですか?」と質問したら、「日本人が普通に食べているようなものを買いたい」といったらしい。
ので、3階にある「北のエース」に連れていったら、「そば(もちろん乾?)、出汁(もちろん粉末)」などを買い物かごに入れた瞬間を先生はニヤッと笑い、「ここの近くに、ぼくのそば打ちの師匠がやっている変な蕎麦屋があり、そこでこれから英会話の勉強をしながら蕎麦を食べるのですが、よかったら参加されませんか」と英語でささやいたらしい。
そこでそのフランス人さんたちは、「おもろそうや」とフランスでささやき、「いってみよか」ということにあいなったしだいでござりまする。
そば粉が、中国の雲南省あたりから始まったらしいが、十字軍といっしょにフランスにも渡り、アン王女がそば粉を無税にしたおかげでブルターニュ地方にガレットが根づいた。アン王女に、「アンガレ」を食べさせてあげたい気分。そして、蕎麦好きのふたりが、押上で「英語で蕎麦会」で、つながった。そば粉は、小麦粉で「つなぐ」。
その縁起で、昔から大みそかに「年越し蕎麦」を食べ、縁がまた来年もつながるように祈ってきた古人の祈りが、海を越えてつながった。
フランスの「YEN」という日本料理とそばのお店の料理長を務めた長屋くんが、先月から早川で「ながや」を開店し、早川港でとれる魚とそばの店をスタートさせた。この港町から、またまた新しい「そば文化」が船出を始め、世界中に「和」の文化が優美に広がっていくような手ごたえを感じた一日だった。
観光、とは、名所旧跡をめぐったり、ミシュラン店をめぐる旅ではない。その土地に住む呪縛霊と対話しながら生き暮らしている「普通のいとなみ」に波動をあわせ、光を観る、ことだと思う。そんなことが当たり前になったら、平和という言葉がいらないくらい穏やかな暮らしが、どの地域にもみられるようなそんな「素敵な星」になれたら、いい。
天恩感謝・野村拝