第006話 『 珈琲の流儀 』

京都のイノダは、あらかじめ珈琲の中に砂糖とミルクを入れて供した。それにならって、あらかじめ「全部入り」の珈琲が主流だった時代がある。アイスコーヒーにいたっては、ほぼ100%砂糖が入っていた時代があった。

時代が「健康ブーム」にうなったのか、好景気で日本人の栄養がよくなり、 生活習慣病なる社会現象みたいな病気が流行り、ダイエットブームにわく今日このごろ。お金を使って、飽食をむさぼり、またダイエットといっては、「やらせ番組」よろしく、納豆から大豆まで枚挙にいとまがない。ときどき、山や海で遭難した人の映像がでて思うけど、「人間必要以上に食べないと、ぜったいに太らない」という大原則がわかっていない。

珈琲も「体にいい」「いや悪い」と諸説あったが、最近は前者に軍配があがっているようだ。 でも、「過ぎたるは及ばざるがごとし」。何事もほどほどがいいと思う。

天真庵では、「ほぼブラジル」「ストレート珈琲」には、砂糖もミルクもつけない、のが流儀。 どうしてもという人は、「ミルクコーヒーのミルクなし」か「ミルクコーヒーの砂糖なし」といって頼んでいただければと思う。

体にいい、悪いは、それぞれの人が五感で感じてほしいし、珈琲の豆も「本来の豆の味」 を楽しんでいただきたい。 たかが珈琲だけど、せっかく「一杯」の縁をいただいたのなら、その一瞬を大切にしていただきたい。

珈琲も煎茶も「おいしい一杯」に出会ったことのない日本人が、あまりにも多いと思う。