ぼくの蕎麦の師匠は、蕎麦の神さまみたいな高橋邦弘さん。 弟子たちは「おやじさん」と呼ぶ。 3年前の雪の降る2月に広島の山奥の道場に入門した。「まさに、雪の花だなあ」と思ったけど、ほんとうの意味は白居易の「村夜詩」にでてくる詩から銘銘されたものだ。(「独出前望野田、月明蕎麦花如雪」)月明かりに照らされて、雪のように白く見えたのは、一面に咲いた純白な蕎麦の花だった・・・みたいな意味。
この雪花山房の命名者であり、その建築をしたのが白井昱磨さん。 時々彼のアトリエにお邪魔して、建築のことや、四方山話をする関係。今回の長屋も、冬の寒い中に現場にきていただき、いろいろなアドバイスを頂戴した。ぼくの「心の師」でもある。お父様が白井晟一先生。「達磨」とい書も、「文人の書としては最高峰」といわれた白井晟一先生の揮毫。天真庵にも彼の書を飾ってある。
世界的な建築家の白井さんが、達磨の高橋さんに電話して、ぼくができたばかりの 道場に入門することができた。以来毎年天真庵に600人くらいの人がきて、1200人分くらいの蕎麦を打ってきた。まだまだ「おやじさん」の蕎麦には遠く及ばないが、伝えていきたいものがある。