1月「水仙を生ける」
金盃銀台(きんせんぎんだい)。水仙の別名だ。
白い台に、銀の盃を載せたような花、いいえて妙だ。
まず、青竹を削って、「くばり」をつくる。これも「土台」。
人生も同じだけど、土台が肝要なのだ。無心に削る、ときどき雑念も削る、へたすると指も削る・・
次に水仙で、真(しん)を選ぶ。水仙の葉はよじれている。
雪の季節に咲く花なので、溶けた水が流れやすいように、ねじれている。
天地自然の神さまは、こんな小さな命にも、ちゃんとめくばりをしているのだ。
その水仙のはかまを、手でもみながら、花の幹をまず抜き、4枚の葉をぬく。
そして寸胴の高さの1・5倍くらいの高さに、長いほうの葉の長いほうの葉、つまり一番長い葉を、「真」にする。つまり、まっつぐ立てる。心がまがっていたら、うまくないように、真名にある「真」は、心(しん)でもある。このあたりの理屈が、自然と身につくと人生がおもしろいし、酒が一段と美味くなる。
絵(亀田窮楽の軸)
水仙を亀田窮楽の軸のところに置いた。
京都の書家で、煎茶の売茶翁を応援してくれた文人。
「精しく研くと本源(根っこ)に窮まる」とある。
ひとつごとを、まっすぐやっていると、根源的なものを極めることができる。道がついてくる。そんな意味だろう。