23年5月 「菖蒲を生ける」

 

 寸胴に、植物の茎の乾燥したものを、V字に削って、「くばり」をつつくる。人生も、建物も津波の防波堤もみな「土台」が大切。

 これができたら、8割完成したといってもいい。

 次に、花の真をきめ、その景色によって、本勝手か逆勝手になる。

 
 掛軸を真ん中にして、その左におくのが本勝手、逆が逆勝手ということだ。

 葉っぱは、みんなばらばらにして、でこぼこ具合で、真を中心に、ぼこを表、つまり中をぼこにする。葉は、短いものを前にして、組み合わせる。

 理屈や黄金率は、方程式みたいなものがあるが、季節や花や葉の具合によって工夫をする、その裁量が素晴らしい。

 
 きまったら、寸胴に水をはる。名鏡止水とは、いいえて妙だ。日本人は古来より、この水際を大切にしてきた。お花は「たし算」と思っていたが、削いで捨てて捨てての「引き算」だというのを、やってみてわかった。

 
 水際・・・政治家や経営者の美学として、「ひき際」というのも、大事なところだ。長く感じた3月4月が終わった。
 新緑の五月。「ゆずり葉」のように、古い体質のリーダーが、退き、新しい芽吹きの季節になってほしいものだ。