久保さんは類まれな陶芸作家である。
愛知県尾西の「金豊舘」の御用達として腕をふるっている。
器はけっしてでしゃばったり、自己主張しない。けれど料理人にとっていい器は格好のキャンバスである。その器にどんな料理をつくってどう盛ろうかという想像力をかきたてるものがなければいけない。どちらも自分に対してのストイックな厳しさと他人に対しての徹底したやさしさがあるように思う。
お膳という限られた空間の中で遊び心と融通無碍なフォルムが宇宙のような無限の広がりを醸し出す。
「今のもの」という個展で、焼き締めの白磁が好評だ。「金豊舘」や「吉兆」や「なべ家」など日本を代表する料理屋にならぶ器を、家庭で普段使いで楽しむのは、豊かな生活を楽しむ源泉ではなかろうか。
2001年
2002年
2003年
2004年